抽象数学を理解するために(その2)
前々回紹介した本に、「代数学への誘い」佐武一郎(遊星社)を紹介しました。
30ページと31ページを見てみると、
「定義とは、一種の公理であり、それを基にして理論を展開させるもの」と言っています。
公理とは、前もって定められたものを言い、それについて哲学的に考えても無意味だと書かれて
あります。ですが、定義を理解するため、定義の数学的イメージを私は考えてしまいました。
それが、誤りだったのです。
定義を理解しないまま進むと、ますます理解できなくなり、深い霧の中にいることになったのです。
その経験から、まず定義を理解しよう、イメージとして捉えようとしたのです。
しかし、抽象化された定義は、いくつかの数学概念の共通部分を表現したのもであり
イメージする事に無理があったのです。抽象化されていない定義はイメージ化する事は、
非常に、有益なことです。
しかし、いったん抽象化された定義を理解する事はおいておくのです。(うのみにする)
そして、その定義の下にある数学概念を、少しやさしい本を読みあさるのです。
そして、しばらく時間をおくと、抽象化された定義が頭に自然に入る準備ができるのです。
少しやさしい本にめぐり会うのは並大抵のことではありません。
諦めずに、本を探しまくるのです。
私は、自分で考えて、定義を理解する能力などありませんから、この方法しかないのです。
丁寧に書かれてあり、解説もある本を紹介しておきます。
岩波の現代数学の基礎です。複素幾何、微分形式の幾何学、位相幾何、代数幾何が
「層」を理解するには適しています。それだけではだめで、解説が書いてある本を探します。
「ガウス和・ポワンカレ和」「コホモロジー」「現代数学の土壌」などです。
ただ、定義の羅列しされた本は、参考書として見ます。
「コホモロジーのこころ」「トポス・層・圏論」などは、かなり馴れてから読むべき本だと思います。
このように、読む順番を間違えると大変苦労することになります。
この辺にも、抽象数学の難しさがあります。
定義・公理を約束ごと、前もって決められた事とすると書いてある本は、
私が、紹介した本以外見たことがありません。
このあたりにも、抽象数学を理解する難しさがあると思います。
ご意見よろしくお願いいたします。